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新聞に載る

先日「心療内科産業医が語るストレス解体術」の本が新聞の書評に載りました。三八つ(新聞の下に載せる広告)に本の宣伝をしたときはそれ程の反応がありませんでしたが、記事になると多くの反応がありました。記事は新型うつ病と中高年の大うつ病の違いについてでしたが、近年新型うつ病が若い人の中で増加し職場の上司がその対応が分からないようです。
 

本の生原稿の中見せを致します。
第10章の「古典的うつ病とディスチミア」です。表5を参照されて下さい。

第10章 古典的うつ病とディスチミア
―新型うつ病の時代―
 ディスチミアとは気分変調症(最近の若い人のうつ病)のことです。職場でうつ病が増えている現在、職場の管理者としては「うつ病は専門医に任せて」とは行かなくなっています。残念ながら素人であれ、管理職者としてはうつ病に関しては、プロに近い知識が必要になってきています。そして今うつ病の型が大きく変わってきているのです。
 若い人のディスチミア(新型うつ病ともいわれている)が多くなっている反面、「古典的うつ病」という言葉はありませんが、以前中高年に多く見られたうつ病は、どんどん少なくなってきています。中高年に多い大うつ病やメランコリー親和型うつ病の病前性格(発病前の性格もしくは病気になりやすい性格)は仕事熱心であったり、几帳面で完全主義であったりします(物のない時代性が関係している)。向上心が高く仕事をやりすぎ、燃え尽き症候群とも言われることがあります。これに対してディスチミアは10代後半から30代に多く、自分に対して愛着が強く、関心のあることは意欲的ですが、会社の規範には否定感情あり、うつ病感は弱く何処か万能感(偏差値教育が関係している)を抱いたところがあります。中高年のうつ病患者の休業は入院か自宅療養となることが多いのですが、ディスチミアは休業診断書を会社に提出し、海外旅行に出かけることも希ではありません。
良い喩えが浮かびませんが、中高年のうつ病は勢いの強い電車が脱線した感じでその落ち込みは大きく、一旦脱線するとまた元の線路に乗せるのに時間がかかります。これに対してディスチミアは勢いが弱くかつ脱線しやすく、線路に乗せてもすぐにまた脱線します。しかし会社の方針と自分の価値観が合致したときは、結構な勢いで線路を走っていきます。
このタイプの治療は難しいところがあり、治すと言うより教育・成長させるという感じです。このタイプのうつ病に対して上司は、根気よく社会の規範と対人関係のノウハウを教えて行かねばなりません。中高年のうつには「休養」が必要ですが、ディスチミアは「教育」が必要です。ディスチミアの社員には、万能感あふれる価値観を現実まで引き戻し、人との優劣に囚われず協調的な生活の中に、日々の安寧があることを体験させることが必要です。先に認知療法のことを述べましたが、このタイプの治療にも認知療法が必要です。認知療法とは認知行動療法とも表現しますが、むしろ病院で治すのではなく、職場で又は復帰時の職場で困難にぶち当たった時が治すチャンスなのです。認知行動療法とは、認知の歪みを「職場という」現場での行動を伴う修正行為そのものなのです。
 今世界では不況の嵐が吹き、日本でも今後経済低迷が続き、人員整理も益々厳しくなってくるでしょう。今後企業はメンタルヘルスに対して益々力を入れなくてはなりません。セルフケアもラインのケアも業績と深く関係してきます。またメンタルなケアを怠ると思わぬコンプライアンス低下を来しかねません。
職場の管理者としては、しっかりと部下の心を見て対処していくことが、今後必要となってくるでしょう。参考までに中高年のうつ病とディスチミアの違いを表5にまとめました。しかし、必ずしも分けることが出来ない場合もあります。最近ではダブルデプレッション(二重うつ)という場合も有ります。


表5 古典的うつ病と新型うつ病の比較
大うつ病                    ディスチミア
年齢層 中高年                    青年層
                             
病前性格 仕事熱心、几帳面、完全主義、執着性格      自己愛、規範に否定的、気が良く変わる
                    
症状 強い憂うつ感、罪悪感、自信喪失
                              慢性的な軽い憂うつ感、発作的な自傷行為
治療 薬物に反応する
                         薬物の反応が思わしくない
病識 初期にはうつ病診断に抵抗
                        初期からうつ病診断に前向き
予後 休養と薬物に比較的反応しやすい         しばしば慢性化、休養では回復しにくい

すみません!!表が巧く入りませんでした。

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